2005年12月30日
中年男ふたりで高尾山
高校時代の友人に誘われ、高尾山に行ってきた。
彼は昨年、前夜降った雪が若干残る中を一人で出かけ、なかなか楽しかったとのこと。
最近は会う機会もめっきり少なくなってしまっているので、歩きながら互いの近況を報告しあうという趣向だ。
山頂でビールでも飲もうということで、電車を使いケーブルカー駅で待ち合わせ。
もちろんモーフィーはお留守番。
往きはケーブルカーを利用したため、あっと言う間に山頂へ到着。
ケーブルカー終点から約30分の道中はほぼ舗装され、
なんと山頂には売店への輸送のためと思われる車まで駐車してあった。
トイレもたくさんあって、なんというか実にラクチンである。
例年にない厳しい寒さが続く年末に、40近いオッサンふたりで高尾山.......
「なにか悲しいことでも...?」と人は思うかもしれないが、
ビール片手に、山頂および麓の蕎麦屋で「俺たち年取ったよなぁ」バナシに楽しく花を咲かせました。
電車で行くのも楽でいいし、友達と話しながら登るのもまたいいものだなあ。
余談だが、登山口でこんな看板を発見!
意味不明だし、犬連れハイキング愛好者としては聞き捨てならない言葉が並んでいる。
「病気って具体的に言うと例えば何ですか?感染経路は?」とか、山頂にあるビジターセンターで教えてもらおうと思っていたのだが、残念ながら閉まっていた。
帰宅後調べたら、以前は「・・・鳥獣保護に関する法律により、・・・ペットの持ち込みは禁止されています。」という虚偽の記載まで行っていたらしい。れっきとした行政機関が堂々と嘘の看板を立てるくらいだから、マンションの検査やら食品検査やら、信用する方が間違っているということなんだろう。あ、関係ないか。
その事実無根の箇所は「日本アウトドア犬協会」の指摘により削除されたようだ。
ちなみに同協会の記録を見ると、「1:過去に、犬に関してのトラブルがあった/ トラブルのあった時期/具体的内容」との質問に対して設置者の「東京都環境局」は「放し飼いの苦情を受けていますが、正確な記録はありません。」、「 2:環境負荷/具体的内容」の質問に対しては驚くべきことに「負荷の有無に関するデータは、所有していません。」、また「 高尾山は年間250万人もの登山者が訪れており、春・秋の混雑期の山頂は、登山客で埋め尽くされる状況の中、ペットに起因するトラブル増加が懸念されるため、持込の自粛をお願いするものです。」と返答している。
これに対して協会側は「注意情報の内容を、入山禁止ではなく、マナーの問題はマナーで解決するという観点からのものとし、トラブルの防止を図ってはいかがでしょうか。」と、まあ常識的と思える提案をしている。
具体的には、 「高尾山は大勢の利用者で常に混雑しています。特に混雑がひどくなる週末は、飼主がコントロールできない犬を連れての利用は一般の利用者への迷惑となります。可能なかぎり混雑時の犬連れ登山はひかえましょう」、「もし犬を連れてコースを歩く場合は、かならずリードをつけ、ほかの利用者への迷惑にならないよう注意しましょう」等々の注意喚起情報を掲載する。
といった内容への変更である。
これに対して、東京都環境局から返答はなかったようである(2005/12/30現在)。
本来個々のマナーに起因する問題を犬連れ入山そのものが原因であるかのようにすり替え、「環境への負荷」を実際には確認していないと認めていながら、犬連れでの入山が重大な環境破壊問題を引き起こしているかのような誤った情報を、多くの人々に流布する行為を止めない行政機関。東京ってオソロシイ.......
ビックリしたので、余談の方が長くなっちゃった。。。
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2006/10/24追記
件の看板は、撤去することが決定されたとの報道があった。
多数の批判を受け、都が専門家に問い合わせて検証した結果(生態系への影響に対して)「はっきりした因果関係まで問えない」との結論に達し、また「あらためて現地調査した結果、飼い主の目立ったマナー違反も見られなかった」ためだという。
記者の取材に対して、都の担当者は(根拠なくペット入山規制看板を設置してしまったのは)「感覚的に対応してしまった」ためだと答えたという。今回の撤去決定は、「感覚的に対応」したワケではないことを祈ります。
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mbt shoes store locator usa かえるリポート 中年男ふたりで高尾山
mbt shoes geneva : 2014年12月8日 15:06
コメント
「イヌキン」看板、初めて見ました。
マナーと環境(生態系)の問題が絡み合っていて、難しいですよね。
マナーという意味では、意識の低い飼い主さんが存在するのも事実ですよね。ワタシが住んでる町にも「落し物」がたくさんあるし、ノーリードで「チャリ引き」している人もいるし・・そのWANがしばらくあさってのほうで「何か」をしていても知らん振りしてるし・・きっと犬嫌いの人には脅威なんだろうなとか、また「落し物」が発生してるのかなとか思ってみてます。(注意すると恐いので)
そういえば、JKCの「訓練競技会」を見学したとき、知らぬ間にタープにマーキングされていたときには言葉を失いました。
環境(生態系)という意味では、無知な人間が入山するほうがよほど環境破壊のような気もするけど・・
感染症という面では混合ワクチンを接種していればWANが(人に対しても動物に対しても)媒体動物にならないような気もするのですが・・違うのかな?
いずれにしても難しいし問題だし、やはり日本ではまだまだ、WAN連れの立場は残念ですが弱いですよね。
もっと普通にWAN連れでいろいろ楽しめる世の中になるといいですよね。
余談ですが、あの看板でペット禁止を懇願していた動物はアライグマだろうか?欧州では「狂犬病」の原因としてアライグマが問題視されているらしいです・・あのアライグマは、どういう意味で描かれたのだろう? 「ペットが野生化した動物」たのかそれとも単に「保護をお願いしているかわいい動物」なのか・・
だらだら文章ですみません。けして「荒らし」じゃありませんです。
投稿者 はなぱぱ : 2005年12月30日 23:24
はなぱぱさん
そうなんです、迷惑な飼い主が多いのも事実だし、何を迷惑とするかの基準も人や地域や時代によって様々ですよね。
いわゆる「イヌキン」の看板が立つ経緯というのも、なんらかの理由で苦情が持ち込まれたことによるものが多いようです。
高尾のケースも「オフリードの犬への苦情」が発端のようですね。
でも普通そういう場合、その内容に関して調査が必要ですよね。それが事実かどうかも不明なわけですから。
ところがその苦情に関しても何も記録はなく、要するにホントにそんな苦情があったのかどうかもわからないわけです。
それでも、色々と非常識な行いをするペット連れがいたのは事実なのでしょう。
ですから、「非常識な飼い主があまりにも多いから、面倒なので全員入山禁止にします!」と書いてあれば、まだわからないこともないのです。
ウンチを拾わない飼い主が多い地域には、そのうち無差別に毒団子がまかれたりするのと同じだから。
山頂にまで土産物屋や自動販売機が並び、幼児からお年寄りまで多くの人が訪れる場所なのですから、犬連れは自粛する姿勢も必要だとも思います。
でも、それを「生態系云々」とか「なんちゃら法により」とか、もっともらしいことを書いて騙そうとするのってヘンだと思いませんか?
「あいつら無知だから、これで納得しちゃうだろう」ってバカにされてるんですよ、たぶん。
もし本当に環境に対して配慮する意図があるのならば、はなぱぱさんのおっしゃるように観光客のマナーに関して、もっと徹底した指導を行っているはずです。
(ここはトイレが多いからそんなことないけど、登山道脇の人間の大便とそれを拭いたティッシュの放置ってすごい量ですよ。登山の入門書にも「生理現象は我慢しないこと」とかよく見かけるけど、そのくせ「せめて拭いたちり紙は燃やすか持ち帰りましょう」なんてことはめったに書かれてないですから。あれが野生動物に影響を与えないとは考えにくいんですけどね。)
要するに「苦情がもちこまれる」→「テキトーな看板立てる」、「再度の苦情」→「我々は注意を促して対処してます。悪いのはそれを守らないペット連れの人達です」という図式で、つまり「我々はちゃんとやることやってますよ」言うためだけのものなんでしょうな。
看板の動物は、疥癬にかかったタヌキのつもりじゃないかな?
近年問題になっている野生動物の疥癬も犬連れて入山する人のせいなんですよ、と言いたいのでは?
開発により動物の生活圏が奪われ、人里との境界線が消滅したことなどが基本的な理由のような気がするのですが、これも飼い犬のせいにしちゃおうという魂胆でしょう。
タヌキやら何やらと目の前で接触させる飼い主なんていないって。疥癬って同じ山の中にいるだけで空気感染しちゃうのか?と聞いてみたいですね。
それとも、ペットだったものが捨てられ野生化して繁殖し、問題になっているアライグマのつもりなんでしょうかね?
だとしたら(ペットを連れて入山することとは)根本的に別の話ですよね。
いずれにしろ、もうメチャクチャ、って感じですね。
もっとも、ブラックバスの問題もそうだけど、カワイイ顔した大臣や肩書きのついたエライ人に言われると、無批判に「そういうものか」って納得しちゃうぼくらが最大の問題なんだとは思うのですが.........
投稿者 かえる : 2005年12月31日 02:52
う〜む。
旧友との楽しいブラリ旅が、憤怒の嵐に急襲されちゃいましたか。。。
世の中、一方向からしか見ない人は多いですが
こうゆう公報の立場では、本来多方向から見て、失礼のないよう考えるのが大切です。
役所って機械的だから、一方でしか考えなかったんでしょうね。
かえる殿のように、講義の電話をして、根本に何が問題だったかキチンと掘り下げて判断ぢてくれる役人がいればいいんだが。。。と思いました。
固い話で大晦日になってシマいましたが
来年も楽しいBLOGと
モーフィの元気を祈ってます☆
投稿者 あきつ : 2005年12月31日 09:28
あきつさん
仮に多方面からの視点はあっても、少数派で声の小さな方の利益を犠牲にするというのが基本方針なんでしょうね。それは仕方がないと思うのですが、デマを広めるっていうのはどうかと思います。
「人が多くトラブルとなる可能性があるので、ペットの同伴はなるべくご遠慮ください」と説明してくれれば「たしかにそうだね」ともなるのですが.........
そもそも、本当に必要であればキチンと禁止すべきだと思うのですが、(気付かない人もいるに違いない)たんなる「お願い」に過ぎず何の有効性もないのにいいのか?という気がします。
というか、「犬連れでの入山は悪いこと、それをするのは悪い人たち」という根拠の曖昧な認識を世に広めることによって、結果的に犬連れを制限しようという作戦なのだと思いますが、公共の機関が選択すべき方法ではないと思います。
って色々書いてるほど「憤怒の嵐」に見舞われたわけじゃないんですけどね。知識としては知ってましたし。
来年は浦和のどこかでばったりお会いできるかしら?
では、よいお年を!
投稿者 かえる : 2005年12月31日 14:45