2005年2月5日
人のセックスを笑うな
「人のセックスを笑うな」 山崎ナオコーラ
この小説の評には、"タイトルと内容が関係ない"という指摘が多いが、そんなことはないでしょ。
このタイトルはこの小説のほとんどすべてを表現している。
39歳のユリと19歳のオレの、恋に似た何か。
ひたすらせつなく、ひたすら恥ずかしい、何か。
もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。
19歳のオレの熱情のばかばかしさやみっともなさを、小説は残酷に描写する。
ユリのたるんだ体や、風変わりな亭主や、何より真剣で青臭いオレの独白を通じて。
でも、笑っちゃいけないのである。
そもそもぼくたちの毎日なんて、そういったばかばかしい独りよがりの営みで成り立っているじゃないか。
人がとても大切にしているものやその思いは、たいていの場合他人から見ればちょっとした笑い話にしかすぎない。
真剣であれば真剣であるほど、滑稽に映るものである。
でも、笑わないでやって欲しい。
たぶんそういうことじゃないかなぁ。
息の長い人気作家になりそうな予感。
小説の「オレ」は北浦和に住んでるし、作者は埼玉県在住らしいから案外うちの近くでこの小説は生まれたのかもしれない。
山崎ナオコーラ、しかしすごいペンネームですね。コーラが好きだから、ってあなた.........
そうそう。
だから、散歩の時にぼくが犬に話しかけていても、笑わないでね。
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コメント
TBありがとうございます。
電車の中でお読みになったとか・・・。
勇気がおありになる・・・^^;
題名はたしかに内容と結託?しているので文句言えませんが、女性が電車の中で堂々と読める題名だったらなぁとか思ったりもします。
こちらもTBさせていただきました。
シンプルで綺麗なBlogですね。他にもリンクさせたくなる記事を見つけましたのでこの記事以外もTBさせてもらいます^^
投稿者 蓮如 : 2005年2月5日 19:26
蓮如さん、はじめまして。
たまたま検索の結果記事をお見かけしまして、TBさせていただきました。
ごらんの通り基本的には犬のホームページの日記をブログにしているのですが、最近では趣味の本や音楽、映画の記事が浸食中です......
ジャンルごとにきっちりと仕分けしていないので、読みづらいと思いますが、これからもお気軽にTBくださいね。
投稿者 かえる : 2005年2月5日 21:05
他ブログからのTBとは、恐縮です。ありがとうございます。
僕は文芸誌で拝読したので、書籍版の表紙は個人的に
とても懐かしい色に感じました。
"タイトルと内容が関係ない"というご指摘は、文芸誌の
評者の方も語っていましたね。
話はズレますが、タイトルは書籍購入に少なからず影響を与えますので、近視眼的に見れば早とちりする読者には購入を控える方も多いのではと思ったりもしました。
投稿者 takam16 : 2005年2月6日 14:37
他ブログからのTBとは、恐縮です。
ありがとうございました。
文芸誌でこの方の作品を拝読したので、
本として表紙を実際見たことはなかったのですが、
とても懐かしい色に感じました。
投稿者 takam16 : 2005年2月6日 14:40
他ブログからのTBとは、恐縮です。
ありがとうございました。
文芸誌でこの方の作品を拝読したので、
本として表紙を実際見たことはなかったのですが、
とても懐かしい色に感じました。
投稿者 takam16 : 2005年2月6日 14:42
こんにちは。トラックバックありがとうございます。
ほんとうに、小説のほとんどを表現しているような書名ですよね。ただ、タイトルで損をしているよなぁって思います。書名に惹かれて読んだ人はイメージと違ってがっかりするかもしれないし、読んでいいと感じるような人は書名にひいてしまうかもしれないし…。作者名はちょっとどうかな、と思うけどこれからが気になる作家です。
そして、モーフィーちゃんかわいいですねー。とってもかしこそう。
投稿者 ハリ : 2005年2月6日 15:18
takam16さん、ハリさん、コメントありがとうございます。
基本的には犬に関しての日記なのですが、読書の記事も多くなり今回はTBを送らせていただきました、突然失礼いたしました。。。
本にしろ映画にしろ、自分とは視点の異なる人様の感想はとても参考になり、またおもしろく感じています。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿者 かえる : 2005年2月6日 19:55
はじめまして
タイトルですが、本を読んだ後、すごくしっくりくることに気付きました。
とても短いのに、たっぷり味わえるものがありましたね。次が楽しみです。
投稿者 nao : 2005年2月15日 16:25
naoさん、コメントありがとうございました。
ペンネームといいタイトルといい、ビミョーなセンスですよね。
もちろん洗練されているわけではなく、格好悪いの一歩手前の格好良さ、みたいな。
ホント次作が楽しみです。
投稿者 かえる : 2005年2月15日 21:09