2005年3月21日
いっしょに歩いていこう
「クイール」がテレビで放映されていた。
監督・崔洋一の演出も、俳優陣の演技も、素晴らしい。
テレビシリーズ「盲導犬クイールの一生」は、盲導犬育成への理解を世に広めた点では意義深いが、別の言い方をすればただそれだけのドラマだった。運転免許更新の際に見せられる交通安全啓蒙のビデオとそのドラマとしての完成度においては大差がない。
映画「クイール」が描いたものは、誤解を恐れずに言えば、盲導犬云々とは関係がない、と思う。
盲導犬はその一生で何度もパートナーが変わる。
それを、かわいそうだ、という人がいる。
そのたびにいっぱいの愛情を得て幸せだ、という人がいる。
この映画はそういった問いへの答えを、いっさい提示しない。
なぜか?
描きたかったのはそういうことではないから、だとぼくは思う。
映画が繰り返し映し出すのは、人と歩く犬の姿。
パピーウォーカーと、訓練士と、盲導犬ユーザーと。
主人公のユーザーが自らの人生の最後に行ったのは、クイールとたった30メートル歩くことだった。
犬とは、いったいどういう存在なのか?
人間と犬との関係とは、いったいどういうものなのか?
この映画が提示し続けるのはそのことだけである、と思う。
ラストショット、子犬がぼくらを見上げるカット。
何かを懸命に伝えようとしているように、ぼくには思える。
どこまでもいっしょに歩いていきましょう、と。
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〜先日の地上波テレビ放映を録画してじっくりと鑑賞〜崔洋一監督作ってのがまず信じられない!自身も犬が大好きだから、その愛らしい表情についこちらの顔付きも緩んでしまう。盲導犬の訓練シーンは、なかなか見れ...
雑板屋 : 2005年11月16日 02:14
コメント
クィールの原作者は、僕の専門学校の先輩らしいです。
投稿者 mimizou : 2005年3月21日 23:58
おお、初書き込みありがとうございます。
先輩なんだぁ、写真科とか?
へんてこな草の入ったウオッカはもう飲み終わりましたか?
投稿者 かえる : 2005年3月22日 08:06