2006年1月29日
「ペットフードで健康になる」 坂本徹也
モーフィーの食事は朝と晩の二回、基本的にはペットフードである。
銘柄にもさほどこだわっていない。
幼犬の頃、実験的に生食を数週間続けてみたこともあるので、その効果のほどはよくわかっている。
そもそも、生の食材を中心とした手作り食(昔ながらの味噌汁ぶっかけご飯や残飯の類でもよい)と、各商品間に程度の差こそあれ経済性や利便性、保存性の向上を目指したインスタント食品であるドッグフード、どちらが食事として優れているかは考えるまでもないであろう。
しかし、色々思うところもあり、また単純に経済面や利便性の点から、(オヤツを除いて)本物の食材を与えているのはせいぜい週に数度である。
老いとともに、徐々にインスタント・フードの回数を減らしていきたいとは思っているが、今のところはこれで我慢してもらうつもりである。
常に心がけているのは、ヤツが何でも「おいしい、おいしい」と喜んで食べるような演出をしてあげるということぐらいである。
かの北大路魯山人は、「味覚馬鹿」という一文にこう記している。「えて栄養食と称するものは、病人か小児が収監されているときのような不自由人だけに当てはまるもので、食おうと思えばなんでも食える自由人には、ビタミンだのカロリーなど口やかましくいう栄養論者の説など気にする必要はない。
好きなものばかりを食いつづけて行くことだ。好きなものでなければ食わぬと、決めてかかることが理想的である。
鶏や飼い犬のような宛てがいの料理は真の栄養にはならない。自由人には医者がいうような偏食の弊はない。偏食が災いするまでには、口の方で飽きが来て、転食するから心配はない。」
簡単に言えば、「美味しいと思わぬものは、栄養にはならぬ。美味しいものは必ず栄養になる。」
であり、
つまり、「美味いもの食いの道楽は健康への投資と心得よ。」
ということである。
ぼくはこの考え方に全面的に賛成するものであるが、文中にもあるように犬の食事は「宛てがい」のものであるというのが現実である。
モーも例外ではない。大切な家族の一員とはいっても、犬としての家族である。さすがに「小遣いやるから、勝手に何でも好きなものを食べてこい」というわけにはいかない。
せめて「美味しくいただく」ということで、得体のしれないドッグフードであれ、イイお値段の馬肉であれ、真の栄養としてヤツの血となり肉となることを願っている次第である。
そうは言っても、ドッグフード、あるいは犬の食事に関しての情報には飼い主として敏感にならざるを得ない。
ネットの発達によって情報の収集はたやすくなったが、一般に犬の食事に関して常識とされているものの中には、どうも納得がいかないことも多いという印象があった。
特にドッグフードに関しては、都市伝説に近いようなものまであり、情報を鵜呑みにすることは躊躇われる。
ドッグフードについて触れた書物も多少はあるが、フードメーカーが何らかの形で関わっている宣伝のための本、あるいは偏執狂的なアンチ・ドッグフード派によるものがほとんどで、個人的にはどちらも共感できる内容ではなかった(部分的に参考にはなる)。
本書「ペットフードで健康になる」は、最近台頭してきた国内の小規模な高級ペットフードメーカーへの取材を中心に、ペットフードや関連業界が抱える問題をリポートした貴重な一冊である。
今まで個人的に「たぶんこうなんじゃないかな?」と思っていた犬の健康やフードに関する考え方がほぼ肯定される可能性も感じられて、思わずうなずく箇所も多かった。
真空パックで小分けにしたり、まったくといってよいほど保存の効かない、極めて高価格の、いわゆるプレミアム・ナチュラル・フードに対しては、率直に言って「ベターなバランスというものはあるにせよ、保存性や経済性を高めるのがドッグフードのコンセプトなのでまったくナンセンス。そもそもナチュラルとは相反する性質を目的として開発された製品にナチュラルさを求めるのは本末転倒。ドッグフードのメリットである保存性と経済性が損なわれるのであれば、本来の自然の食材を与えた方がよい」という風に思っていた。そこはかとなく漂う宗教っぽさも苦手だし、我々飼い主が健康上の問題の解決をフードだけに求める傾向にも大いに疑問を感じるところである。
ところがそれらの新興企業の経営者達が一様に「本当はウチのフードだけでなく、手作りのものを与えていただくのが一番なのだけど........」と語っているのを読んで多少印象が変わった。何らかの事情で既存のペットフードに疑問を感じ、理想のペットフード開発を始めた彼らは、そんなことは先刻承知だったのである。それでも、ほとんどの犬がドッグフードだけで育ってきたという日本の現状や緊急時のことを考えると、なるべく安全で本来の食事に近いドッグフードというものは必要ということなのであろう。
正直、多少踏み込みが甘いと感じる箇所も多い。事実と伝聞が入り交じっている点も気になる。
最大の不満は、どうせだったら本書でペットの健康を害する諸悪の根元であるかのように扱われる大手ペットフードメーカーへの取材も敢行して欲しかった、ということである。
しかし、そういった点を差し引いても、飼い主としての多くの疑問にある程度の回答を提示してくれる満足のいく一冊であった。
ペットジャーナリストを標榜する著者の次作にも、非常に期待しています。
「ペットフードで健康になる」 坂本徹也
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.blacklab-morphee.com/blog/tt_tb.cgi/901
コメント
hermes paket deutschland ?sterreich dauer かえるリポート 「ペットフードで健康になる」 坂本徹也
投稿者 hermes birkin outlet : 2014年11月21日 18:12
かえるリポート 「ペットフードで健康になる」 坂本徹也
gzmlcydnk http://www.g08z3pvj80pf5e6cp6445153dprr27iys.org/
agzmlcydnk
[url&eq;http://www.g08z3pvj80pf5e6cp6445153dprr27iys.org/]ugzmlcydnk[/url]
投稿者 gzmlcydnk : 2014年11月21日 18:45
かえるリポート 「ペットフードで健康になる」 坂本徹也
lfktcksstg http://www.gm31f7159le00c048md9r8d115gerslls.org/
[url&eq;http://www.gm31f7159le00c048md9r8d115gerslls.org/]ulfktcksstg[/url]
alfktcksstg
投稿者 lfktcksstg : 2014年11月21日 19:05
かえるリポート 「ペットフードで健康になる」 坂本徹也
adoibdrncbv
[url&eq;http://www.gwbu4d2jq3s396q842fv3oj2813k16jbs.org/]udoibdrncbv[/url]
doibdrncbv http://www.gwbu4d2jq3s396q842fv3oj2813k16jbs.org/
投稿者 doibdrncbv : 2014年11月21日 19:48