2004/10/29 猿ヶ京温泉・星みる舎

妻の妹一家の日本滞在も残りわずかとなってきてしまったので、夏に宿泊してとても気に入った貸別荘・星みる舎に一緒に出かけることにしました。

彼女たちが住んでいるのはアメリカ西海岸、ちょっと走れば砂漠です。
せっかくなので久しぶりに日本の紅葉を楽しんでもらおうという趣向です。
残念ながらご主人のしげちゃんは仕事のため欠席。
はじめの頃はモーを見ると泣いていたなるちゃんも、特訓を重ねたためもう平気です。

到着すると管理人の近藤さんご夫婦、web担当のケンちゃんさんが出迎えてくれました。
2泊3日の「紅葉と薪ストーブの旅」の始まりです。

前回は1泊しか出来なかったにもかかわらず、立派な表札をいただき感激しました。
もちろんその表札は持参したのですが、なんと今回はモーフィーの表札をプレゼントしていただきました。
フォントもずいぶん時間をかけて考えてくださったそうです。

外の犬小屋にはもったいなくて掛けられません。
たぶん食べちゃうし.......
せっかくなので、チェーンをつけてどこかに飾ろうかなあ。

さて、まずは今回お世話になる星みる舎の色々を、前回触れなかった点を中心に詳しくリポートしたいと思います。

テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」で2002/12/26に放映された「全国大工王選手権 2時間スペシャル 露天風呂付き離れの宿勝負」。大工と設計士が中心となって組んだ3組の大工チームに、家族が楽しく過ごせる露天風呂付きの離れの宿をそれぞれ一部屋作ってもらう、という大がかりな特別企画。
その一組「イケメン大工集団」としてここ星みる舎を担当したのが、空創計画の一級建築士高橋敏三氏と若き棟梁の率いる高木組でした。

建物東側

「はなれ」の設計にあたっては建主から、「土間があること」「結露しないこと」「囲炉裏または暖炉があること」が望まれた。
この場所は四方を山に囲まれ、東側の谷間から朝日が昇り、南側の小山を通り過ぎた太陽は西側に見える谷間を夕日で染めます。眼下には岩肌を流れる西川と敷地内に流れる小川の合流が望めます。
おのずと周囲の素晴らしい環境を最大限に生かした設計が生まれたのです。

この宿にはテレビがない。理由は明白です。
南の壁面いっぱいに張られた断熱ガラスは眼下に渓流西川を望み、刻々と変化する四季それぞれの自然の営みを映し出す超特大モニターです。我々は気に入った椅子に陣取り、退屈なCMに邪魔されることなくそれを楽しむことが出来ます。

この贅沢な番組は日没と共に閉幕してしまうのですが、心配することはありません。
居心地のいい土間には薪ストーブがあります。
「焚火は森のテレビジョン」と言ったのは誰だったか。
揺らめく炎が描き出すオレンジの紋様は決して飽きるものではありません。

建物南側

半地下に設けられた開放的な風呂では、春夏秋冬朝昼晩と異なる表情を見せる景観を楽しむことが出来ます。
ついでに、豊かな生態系の存在を証明する四季それぞれの昆虫たちを楽しむことも出来る。
そっちはあまり楽しみたくないという向きには、迂闊に窓を全開になどしないことをお薦めします。

建物西側

この周囲の大地は、強固な岩盤と深く根を下ろした木々によって守られています。
先日の新潟中越地震の際、震源も近くこの地でも震度5を記録した割には、建物はビクともしなかったそうです。

建物北側

庭の片隅には薪置き場があります。
最低1年ゆっくりと乾燥させることにより、火持ちがよく、且つよく燃えるいい薪となります。

まさに野天風呂。
すぐ脇を流れる沢のせせらぎは気持ちのいいBGMです。

沢はやがて眼下の渓流西川と合流します。
時折、産卵のため遡上した山女の姿を沢で見つけることも出来るようです。

現在禁漁期ですが、「この沢は私有地で権利を有しているので釣ってもいいですよ」とのことでしたがもちろんそんなコトしません。
それって、巣鴨でおばあちゃんナンパするようなもんでしょ。

目の前にそびえる山にも上部から紅葉が降りてきている様が確認出来ました。
もっとも広葉樹が少ないため、色づきはそれほどでもないようです。

さて、建物内部です。

これがこの家を支える太ーい大黒柱。
放射状にのびた梁の取り付けに苦労した様子が、先の「TVチャンピオン」番組内で取り上げられていました。

番組収録時に使用した設計者のゼッケンが残されていました。

ずっと憧れていた薪ストーブ。
今までは、敬愛する作家・田渕義雄の本を眺めながら「いいなあ、羨ましいな」と呟くくらいしか出来なかった。借り物とはいえ、やっと自らの手でそこに火をともすことが出来てしばし感激です。

ペットや子供のために写真の柵も用意されている。
もちろん、必要のない場合はたたんでおけばよい。

薪もたっぷり用意されていますが、キャンパーの間では焚き火で豪快に炎をあげるのは下品でみっともない行為だとされている。
気温などの状況にもよるが、あまり頻繁に薪をくべるのはちょっとかっこわるいのかもしれない。
空気穴も、着火時以外はほとんど全閉に近い状態で問題ありませんでした。

前回利用させていただいた際にリクエストしたリードフックが、ストーブの脇に設置されていました。
ちょっと犬を繋いでおきたい時に便利です。

リードの持ち手がはずれない形式になっている場合は、カラビナなどを持参すると便利だと思います。

土間を一段上がるとキッチン。
およそ必要と思われるものはすべて揃っています。

コンロは電磁式なので鍋類は対応するものでないと使えません。
もちろん用意されている鍋はすべて対応していますし、土鍋を使う場合のカセットコンロも常備されています。

食器洗いのスポンジなども「毎回新品に変えてるんですか?」と聞きたくなるくらいきれいな状態。あらゆる場所や備品に見受けられる清潔で細かいところにも行き届いた管理状態は、貸別荘の一般的なイメージとはずいぶん異なります。

鍋、食器類からオーブントースター、焼き肉プレート、キッチンペーパーからサランラップ類に至るまでほとんどのものが過不足なく揃っています。
ていうか、我が家よりよっぽど充実しています。

もったいないから、割り箸だけでなく普通の箸の常備をリクエストしました。

キッチンの下の空間です。
この建物には至る所に炭が置かれています。
その消臭効果のおかげか、宿泊する多くの方が犬連れであるにもかかわらずイヤな臭いなどはしません。

キッチン脇の階段を上るとトイレ。
全体的にウッディな作りのこの家の中で、この場所はやたらと未来的な最新設備が整えられ異彩を放っています。
便器の前に立つと勝手にカバーが開いたりして、ものすごくびっくりします。

でも、やっぱり炭はある。

操作はすべてこのボックスで。
宇宙船に乗った気分。

機械に弱いお父さんなどは、水を流すことすら出来ずに便座に座ったまま途方に暮れるかもしれません。

助けを呼ぶことも出来ずに、天を仰いだお父さんの目にはリサイクルガラスを散りばめた天の川が映り、思わず口ずさんでしまうかもしれません。
when you wish upon a star.....

そのリサイクルガラスの破片は、土間の周囲にも散りばめられています。

このように赤ちゃんが、おはじきかなんかの代わりにして遊び始める可能性もあります。

後かたづけが大変です。
ご注意ください。

懐中電灯や着火マン、細かいところも気が利いています。

至る所にmini常備灯が準備されており、緊急時の備えも万全。
簡単な救急セットも用意されています。

バーベキューコンロもちゃんとあります。
油断すると虫の丸焼きを食べることになりますので、ご注意ください。

ここでじっくりハムやベーコンをスモークするだけの休日、という利用法もなかなか魅力的です。

階段を下りると洗面・脱衣所。
バスタオルや歯ブラシはありませんので、持参する必要があります。
タオルはストーブの前に干せばすぐに乾きます。
ドライヤーは用意されています。

脱衣所のドアを開けると外に出ることも出来ます。

沢の上流方向には、鬱蒼とした山林が広がります。

鹿や猿が降りてくることはあっても、人が近づいてくることはないでしょう。

残念ながら、豊富な湯量を誇る温泉、というわけではなくボイラーでの普通の沸かし湯です。
掘れば温泉が出ることはわかっているそうですが、使用量の関係だかで許可が下りないそうです。

せっかくなので、美女の入浴シーンをサービス。

我々は2度目の利用ということで、リピータへのサービス・ウェルカムワインをいただきました。

もちろん、アッという間になくなりました。
もしかしてこういうものって、家に帰ってから旅の余韻を楽しみながらじっくり味わうのがマナーなのでしょうか.....?
だとしたら、大変申し訳ない。。。

ここ1ヶ月の特訓の成果が上がり、なるちゃんとモーフィーも仲良しになりました。

まあ、顔は相変わらずこわばってるんですけれど.....

リトリーバーといえば暖炉や薪ストーブ、という貧困な発想の持ち主であるぼくには、このシチュエーションは大変満足のいくものです。

まあ、だからどうした?っていう話なんですけれど。

せっかく猿ヶ京に来たのだから温泉にも行こう、ということでまんてん星の湯へ。
湯質はノーコメント、風情はまったくないよくある日帰り入浴施設でした。

なるちゃんがプールと勘違いしてはしゃぎ回っている間に、おじさんはマッサージ。温泉地の基本です。

夕食はタマネギのスープと鉄板プレートでの焼き肉。

高速I.C.からの途中にスーパーマーケットがありますので、買い物はそこで済ませました。

ホイルにニンニクを皮つきのまま丸ごと包んでおくと、焼き肉が終わる頃にはトロトロになります。
もちろんストーブの上でもOK。

みんなで臭えば怖くない。

なんだか変な場所で食べている人もいますが、気にしない気にしない。

先ほどいただいたワイン、焼酎、梅酒、日本酒、スキットルの中にはラム。
大人の時間です。

この家は照明設備が充実しています。
時には充分すぎるほどです。
かといって明かりなしでは、まさに漆黒の闇に包まれます。
秋冬の間は薪ストーブの明かりだけでも事足りますが、テーブルの上にキャンドルがあるくらいがちょうどいい具合です。
2度目の今回は、もちろん持参しました。

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